[Fate/Samurai Remnant]その男は剣鬼に至る

ゲーム

「Fate/Samurai Remnant」の2周目をクリアした。(最後の選択肢の直前でセーブして両方の結末を見たのでエンディングは3つ全て閲覧済みだ)

以前、1周目をクリアした際は良ゲーと判断していたのだが……。

いや~想像以上に凄かった

2周目以降に明らかになる主人公の異常性と、3つ目のエンディングが。

正直、3つ目のエンディングを見るだけでも価値があると思うし、このエンディングに繋げるためにサムライレムナントのストーリーが作られているのではないか?と考えるくらいには3つ目のエンディングのインパクトは強かった。

というわけで、2周目以降に明らかになる事実と、3つ目のエンディングについて忘れないうちに書いてみようと思う。

以下ネタバレ注意!!









宮本伊織(史実)について

サムライレムナントでの宮本伊織について語る前に、史実における宮本伊織について確認しておこう。

wikipediaで宮本伊織のページを開くと、以下のように書かれている。

伊織は宮本武蔵の推挙により寛永3年(1626年)15歳の時に播州明石藩主・小笠原忠真(当時忠政)の近習に出仕、出頭人となり弱冠20歳で執政職(家老)。翌9年(1632年肥後熊本藩加藤忠広改易に伴い肥後へ移封された細川忠利の跡の豊前小倉藩移封の時、2500石。同15年(1638年)の島原の乱には侍大将と惣軍奉行を兼ね、戦功により1500石加増、都合4000石。家中の譜代・一門衆を越えて筆頭家老となる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/宮本伊織

1626年で15歳と書かれているように、史実における宮本伊織は1612年11月13日生まれであり、20歳の若さで家老に、そして島原の乱での活躍から筆頭家老にまで登り詰めている。史実の宮本伊織は役人としてかなり優秀な人物だったらしい。

ここでアレ?となるのは、伊織の年齢、そして経歴である。サムライレムナントの舞台は江戸初期ではあるが、西暦にして1651年のことであり、史実における宮本伊織は39歳。明らかに20代前後の若かったサムライレムナントの伊織とは年齢が全く異なっている。

また、サムライレムナントのランサーのマスターである「地右衛門」は幼少期に島原の乱で地獄を見た経験が今作の行動原理に繋がっているキャラクターで、異典にてその出来事が掘り下げられているが……そこに伊織についての言及は一切無い。おそらく、サムライレムナントの宮本伊織は島原の乱に参加すらしていない。

ここで思い返されるのは、序章にて男武蔵とバーサーカーの武蔵に言われていたあのセリフ。

「生まれる時代を間違えた」

そう、サムライレムナントの宮本伊織は史実とは生まれた年が異なっており、サムライレムナントの世界は宮本伊織が島原の乱を経験していない世界線なのである。

宮本伊織の「他人への理解」について

サムライレムナントで2周目を始めると、ストーリーが1周目と若干異なる点が存在する。

一番最初は、横須賀においてアサシンのマスターの工房に殴り込みに行く場面。

敵の罠にかかり、セイバーの動きを封じられた途端に敵に襲われて、伊織一人で敵に対処することになる。

この時、1周目の時は、セイバーが焦りつつも、なんとか伊織が敵を退けて、安心するシーンに続くのだが……。

2周目ではステータスが引き継ぎとなったり(強くてニューゲーム)、ユーザーのアクションが上手くなっていることを反映?しているのか、一人で戦う伊織に対し、セイバーは「伊織は確かに自分たちサーヴァントに比べれば弱いが、当世の人間と比べれば圧倒的に強い」ことに気付く。

そして、戦闘後の伊織に対し、「君の剣の在り方は泰平の世からすると歪だ」と指摘をするのが2周目でのやり取りになっている。この時は今はそれよりもアサシンのマスターをなんとかしよう、と伊織がさえぎって終わるのだが……。

場面が変わって横須賀での戦いの次の日。

己の在り方を省みた伊織は一昼夜を通した稽古を行う。

その稽古の中で、伊織は自分の中の「余分」を捨て去ることで、新しい剣の型、「火の型」を習得する。

1周目の際はセイバーは何か言おうとするものの口を噤んで終わるのだが……。

2周目では、横須賀での問答の影響か、セイバーは伊織に「それは良くない」「君はやさしさを捨てるべきではない」「捨てた余分の中には優しさがあって、きみの大本を成すものだ」「君は相手の気持ちを考えることが出来ている。それは剣士としては必要ないかもしれないが、尊ぶべきだ」と、伊織を諌める。

それに対する伊織の返答は……。

「常にそうだ。いつだって俺は、相手の気持ちを想いながら振舞っている」

(そうする理由は)俺が、勝つためなんだ」

眼前の敵を確実に仕留めるため、理解は俺にとっては必要な工程の一つ」

「敵味方の区別を付ける前に、俺は相手を理解する。いつでも殺せるように

「だから、謂うところの優しさとは違う」

とのこと。

つまり、1周目から感じていた、宮本伊織の好青年ぶりは、他者を理解すべく共感しているだけ、つまり相手を理解して勝つためであり、だれが相手であっても殺すことを念頭に置いて人付き合いをしている結果だったのだ。怖~!!

言われてみれば、若旦那……ギルガメッシュとの初対面の才、ギルガメッシュに「値踏みをするな」と言われていたが……あれは若旦那の正体を確認しようとしていたセイバーに対してではなく、ギルガメッシュに対しても理解をしようとしていた伊織に向けた発言だったのだろう。

そして、こんな芸当は伊織自身の頭が良くなければ、思い付くことも無ければ実行することも出来ないだろう。

つまり、史実よりも遅く生まれたサムライレムナントの宮本伊織もまた、天才だったのである。

3つ目エンディングでの伊織の決断

儀式の最後。1周目では盈月(聖杯)を破壊する決断をした伊織。

だが、盈月を破壊してクリアした場合、「剣の渇きは満たされず」と表示されてゲームが終了し、伊織の人物プロファイルにも、「愛すべき日常を取り戻した。何を悔いることがあろう?」と、まるでこれまでの結末に満足していないかのような表現が追加される。(これを見て、おや?と不穏に思ったのが先週の時点だ。)

そして2周目以降の儀式の終盤の選択肢において、伊織は盈月を破壊しないことを決意する。(3つ目のルート)

そう、伊織は泰平の世を求めたことは一度も無く、ただひたすらに剣の道を極めることのみを欲として生きてきたのである。

剣の道を極めることのみを求めてきた伊織にとって、強者(サーヴァント、剣聖にも並ぶかもしれん魔人たち、と伊織は表現していたが)との戦いは、自分の剣を極めるための良い機会であり、その機会を提供してくれる盈月の儀は、伊織にとって願っても無い災いだった。自分が戦い続けたいから、世の人々が災いに脅かされようが構わずに盈月を残す、という決断をしたのだ。

泰平の世を尊び、人々に災いをもたらすとして、盈月を破壊しようとしていたセイバーとは意見が対立。そして伊織の望み通り、伊織VSセイバーの一騎打ちが行われる。

結果は伊織の考えを読んだセイバーの勝利。相手を理解することで勝つ剣の更に先を行かれて伊織は敗北する。

致命の一撃を受けた伊織は、泰平の世では生きられぬ己を嘆きつつも、何より願っていたセイバーとの死合いに満足して死亡する。

(その後、セイバーも消滅した後に伊織の死体へ近づくカヤの姿に「うわぁ……。」という声がリアルで漏れた。OPのラストはそういうことだったのね……。)

…………。

……………………。

いやー凄いエンディングだ!

1周目をプレイしている最中では、伊織の剣への執着の異常性なんかは気付かなかったし、こんなエンディングを迎えるとも思っていなかったので衝撃だった。(まぁ優しい人ではない云々の時点でこうなりそうだなぁという予想は付いたが)

最後の伊織VSセイバー、武蔵に勝った伊織でも、ただ自分の手の内がバレているというだけで、セイバーに敗北したあたりから、伊織は剣の天才ではあるのかもしれないけど、剣聖には至らないのだろうな、と思った。だからこそ、剣の鬼と評されているのだろう。

自分の行動原理が全て剣、何よりも優先するのは剣であり、普段の自分の振る舞いも、剣で相手を殺すためのもの、と人生の全てを捧げて剣の道を極めることを目指す男……これは剣の鬼と評されるのも納得である。

思えば剣戟を見ただけで、女武蔵のことを「師匠に違いない」と断定するあたりから、伊織が剣を中心として生きてきた伏線だったのだろう。

別世界の伊織は?

そんな剣の鬼であった伊織だが、恐らく同じFate世界でも別時空……史実に近い年齢の伊織であればこうはならなかったと思っている。

盈月の儀でセイバーの剣を見ていないから、といった理由もあるがそれ以外にもそう思う理由がある。

それは、伊織がもう少し早く生まれていた場合、「島原の乱」を経験しているからだ。

戦いを求めつつも、泰平の世に生まれてしまったことを嘆いている伊織にとって、「島原の乱」は自分の欲望を満たす良い機会だったはず。

しかし、そこで戦う相手は盈月の儀とは異なり、自分よりも弱い相手ばかり。

自分の剣の渇きが満たされることは無いので、「自分よりも強い相手がいないのであれば剣を極めても仕方ない」と結論付けたのではないだろうか?

そうして士官の道を進み、持ち前の相手を理解する振る舞いによって筆頭家老に登り詰める……。

まさしく、サムライレムナントの宮本伊織は、生まれる時代を間違えているのである。

終わりに

サムライレムナントの公式サイトにおいて、本作のキャッチフレーズはこう記されている。

────きみの願いを、斬り捨てる。

まさしく、伊織の災いを残そうとする願いを切り捨てた、セイバーのセリフなのだろう。

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