FGOでは4/26~5/17の間、「魔法使いの夜」、通称”まほよ”とのコラボイベントが開催されていた。
コラボイベントといっても、「魔法使いの夜」はFateの生みの親である、「奈須きのこ」が執筆したビジュアルノベルゲームであり、Fateとはだいたいの世界観を共有している作品なので、世界観の
今回のイベントストーリーは滅茶苦茶良かった。個人的には、FGOの中でもかなり上位に来る話だったかもしれない。
もう既にイベントは終了してしまっているが、せっかくなので感想を書こうと思う。
長くなるので分割。後編はこっちだ!
前提
コラボイベントであり、コラボ先の作品への理解度によって評価は大きく変わると思うので、ぼくの「魔法使いの夜」……というかType-Moon作品への理解度について語っておこう。
「魔法使いの夜」は一応、プレイしたことはあり、Windows7版(まだボイスが付く前だ!)を保持している……のだが、実は全部はプレイしていない。
途中までプレイしていたのだが、そのクリアする前にPCが壊れてしまい、買い換えたところ、ディスクドライブが無くて読めなくなってしまってそのままに……。まほよのディスクはホコリをかぶって奥にしまったままだ。(今は外付けのディスクドライブを購入しているのでプレイは出来るが……以前のセーブデータを持っていないので、初めからになる)
以前やったときは遊園地のお話が終わったところまでやった記憶はあるのだが……。
プレイしたのも6年前くらい?前の話なので、記憶もあやふや。主要人物……FGOでプレイアブルとして実装された3人しか記憶に無い。(BGM、演出等が他のビジュアルノベルゲームとは一線を画す出来だったことは覚えている)
まほよ公式サイト(http://typemoon.com/products/mahoyo/)の登場人物欄を見ると……。
殿下こと、鳶丸は覚えている。青子と腐れ縁、という関係性から、Fateの遠坂と柳洞一成の関係に近いのかな?と思っていた記憶がある。一成とはキャラが違うけど。
久万梨は……ちょっと覚えが無い。出てくるところまでやってないのか、それとも単に忘れちゃっただけなのか。今回のコラボイベントで出てこなかったので、性格等はわからないままだが、もう忘れないと思う。
いた……ような気がする。けど覚えていない……。今回のコラボイベント見る限り、忘れそうにないようなキャラしてそうなんだが……。
知ってる。(まぁちょっと見た目異なるけど)
なんなら”大の妹思い”のニュアンスがチョット異なることくらいまで知ってる。(Fate EXTRAで姉妹揃って登場した時はなんか仲良くしてたな、というのも覚えている)
というのも、橙子さんがメインキャラとして登場する「空の境界」は映画版を全て視聴していたし、小説版も全てではないが読んでいてよく覚えているからだ。(なので両儀式のことも当然わかるぞ!)
ロードエルメロイ2世の事件簿でも登場していたし、Fate stay night 桜ルートのトゥルーエンドでも存在が示唆されていたし、なんなら劇場版でちょこっと映っていた人。Type-Moon系列で最も多く登場している人物の一人じゃないかな?
まとめると、一応「魔法使いの夜」のプレイ経験はあるものの、全てプレイしたわけでも無いし、記憶もほとんどない。メインキャラの青子、有珠、草十郎の大雑把なプロフィールは辛うじて覚えている。また、「空の境界」の登場人物も良く覚えている。
これを前提として話を進めさせてもらおう。
おまけ。
全く記憶に無くて、誰?という感じの人なのだが……。
青子が偽名で使ったった上に酷い言い草するくらい、嫌っていることは今回のコラボでも伝わってきた……。
キャラの掛け合いが上手い
今回のまほよコラボで登場したのは、プレイアブルキャラクターとして、「静希草十郎」「蒼崎青子」「久遠寺有珠」の3人が、ストーリーのみのキャラクターとして「槻司鳶丸」「木乃美芳助」が登場。
今回のコラボが初めてまほよに触れる人が多いことを見越してか、キャラクターの性格が伝わるようなやり取りが多くてわかりやすかった。
馴染みのある青子と有珠、青子と草十郎の掛け合いは懐かしかったし。
3人の掛け合いでなんとなくの人間関係を思い出したし。そういえばこんな話あったような気がする……。
木乃美のことを知らない状態でも、最初の発言で、結構軽口言い合える関係性なんだなぁって一発で掴めたし。(胡散臭いおっさんが急に軽薄な男に変わってびっくりした)
まとめると、登場人物5人が結構辛辣な言葉も言い合えるくらいに仲が良いことが、短いやり取りの中で伝わるようになっていてとても良かった!
若干、主人公とマシュが置いてけぼりになってるような場面もあったけど、むしろ5人を邪魔しすぎない塩梅の行動をしてくれているように感じたので、コラボとしてはこれで良かったと思う。
仲が良い人たちの関係性は見ているだけで面白いよね。
話の展開が上手い
ダントツで良いなって感じたのは、話の展開が滅茶苦茶上手いこと。原作者の奈須きのこが書いているとはいえ、毎日ストーリーを更新する形式で、ここまで読者の心をつかむように話を持っていくのはかなり凄いことだと思う。
一番上手いなって思ったのは情報の開示の仕方。毎日更新の上手く使っている。
今回はタイトル詐欺で青子が5回死ぬわけだが……。同じことを5回繰り返しているはずなのに、死ぬ5回のシチュエーション、その後の話の展開が全く異なるため、飽きることが無かった。
まずレイシフト二日目。初めて青子が死んだとき。
そして未来から新しい青子(二人目)が補充された。(??????????)
このときは、秘湯を使うために、ライバルの数を減らそうとした人間がいるのではないか?という考えのもと、青子を殺した犯人を特定する方向性で捜査を行うことに。
捜査のついでで五怪談の一つ「旧館の永廊下」を解決。
そして操作の結果、わかったのは、青子殺害の現場にイシュタリンが居たこと、イシュタリンの願いである”若返り”の秘湯の効果が使われたこと、殺害の現場にはもう一人、青子と話をしていた人物がいたこと。
そして。
なんだか物騒なことを青子は口にしていたこと。などが明らかになった。
そしてレイシフト二日目。まさかの青子の2回目の死。(タイトルを信じていたので、ここで2回目の死を迎えるとは思っていなかった。もっと先かと……。)
当然のように帰ってくる青子(三人目)。これって未来からの視点で見た時、派遣した直後に死を悟るんだろうか?なら5連続で自分を派遣しまくってるってことなのかな?
それはともかく、このときは、犯人捜しよりも特異点の解決を優先することに。
この特異点にいる人物は、怪異退治ではない目的があるはず、という両儀さんの言い分を元に聞き取り調査をすることに。
ついでに、五怪談の一つ「悪魔の教室」に操られていたカレンを草十郎がなんとかして解決。
この調査で、青子が死ぬ前に会っていたのがバゼットだったこと、そのバゼットが恋愛成就の秘湯を求めていたこと、(バゼットの次の目的が封印指定されている青子の姉、蒼崎橙子だったこと、)バゼットは秘湯を使わなかったこと、そして青子が温泉に居る間誰も温泉を利用しなかったにも関わらず青子が死体で発見されたことなどが明らかに。
とはいえ、基本的には1回目と2回目が同じような流れを汲んでおり、ここまでくると、もしかして明日も青子が死ぬのでは……?と読者も想像が付くように。
また、人によってはこの連続殺人が人の手によって行われるものではない=犯人は人ではないことの予想を立てていた人がいたかもしれない。
そして3回目。予想通り青子が死ぬ。
ただし、今回は青子死亡時に居た人物が最初から開示される。
そして当然帰ってくる青子。(四人目)
今回の殺人、撃ち殺したのは杉谷だが、どうやら杉谷(怪異)と杉谷(本物)、そして青子の3人が現場には居て、杉谷(怪異)が杉谷(本物)を撃ち殺そうとしたのをかばって青子が死んだ、という事実が公開される。前日の段階で、人が犯人ではない、と考察した人を嘲笑うかのような潔さだ。
だが、その事実についての話が行われる前に、周囲に展開されている霧……五怪談の一つ、「逆写しの鏡」によって操られてしまった有珠が展開している「童話の怪物」ワンダースナッチ……のオルタの対処に追われることに。
ちなみにこのとき、行く場所によってはFGOでは珍しいバッドエンドを迎えてしまう。
怪異の対処後、バゼットの残した資料から、最も怪しかった隈乃院ヨシスケの正体が、青子たちの同級生である「木乃美芳助」だとわかり、(殺人ではなくこの特異点の)犯人候補から外れてしまう。
これのお陰で、この日に明らかになった、”怪異が秘湯を使おうとした人の形をして、自分を殺そうとする”事実について語られることは無かった。話を逸らすのが上手い……。
そして4回目。流石にプレイヤー全員が、「また青子が温泉行って死ぬんでしょ」と思った矢先。
青子が死んだのは正しいが、どうやら来る時間をうっかりして二人の青子が存在していたらしい(ここは正直よくわかってない)。とりあえず死んだのは5人目の青子。4人目が生きているからややこしい……。
ここで、そういえば昨日、秘湯を使おうとする人に化けて怪異が出るんだっけ、という情報を思い出すことになる。奈須きのこは読者の習性を熟知している……。
ここで、毎朝起きる青子殺人事件の正体が、件によって自分の未来に殺される代わりに青子が死んでいたことが判明。
そして、朝から姿の見えない士郎さん(stay night主人公のスターシステムだ!)を探すことになり、これまで同様、五怪談の一つ「物書きの首くくり」には襲われる……が、今回は両儀さんが古刀を使って解決。
(地味にここで式が青子の姉、橙子の話をしているが……青子がそのことを言及しなかった。して欲しかった……。)
そして、件……というか椀々様が正体を現したため、これを討伐。最後の五怪談である「椀々様の帰り道」が解決。この日は1日で五怪談を二つ解決したことに。
だが特異点の謎については何もわかっていない……。
が、実はこの時点で椀々様……というかシャイニースターの特性については語られていたのだった。クリア後にストーリーを見返すと気付くけど、初見の時点では言っている意味がわからないようになっている。が、このときは勢いで倒せてしまったのでこのことが完全に頭から抜け落ちてしまう。奈須きのこは読者のことをまるっとお見通しだ。
特異点の謎はわからないものの、怪異は全て解決したため、これで次の日の青子の殺人は起こらないだろう……と思わせて。
期待を裏切るのが上手い。前日は朝一緒にいたから今回は死なないだろうと思っていたのに……。
今回死んだのは4人目の青子。だが、このことについて、鳶丸は予想済みだったらしい。
ぼく?全く気付きませんでした!
そうして、最終日にしてこの特異点(2001年)を作ったのが青子であること(実質青子が犯人じゃん!)、特異点を作る原因となった1999年……の2年前に、人類を絶滅させる正体不明の星が発生する原因が有珠(のプロイキッシャー、「オンリーワン/ナンバーワン・シャイニースター」)であること(実質2人目の犯人が有珠じゃん!)、そして、シャイニースターに願いをこめたのが木乃美だということ(3人目の犯人が木乃美じゃねぇか!)が次々と判明。
謎が次々に解明していく感じ、推理小説っぽくて好きだ……でも犯人じゃん!が目まぐるしく変わるのは凄く新鮮だ……。
というわけで、少しずつ謎を解明させて、読者に「次はこうなるんじゃね?」と思わせて、その期待を裏切ったり、考察した内容が次の日には公然の事実として扱われてさっさと次に行ったり……連日でストーリーが公開される形式に合わせて、人を引き込むストーリー構成になっているのが凄く良かった。
意外性と想定内のバランス、そしてばらまかれる伏線とその納得感が丁度良い塩梅になっていて、これだけで今回のイベントストーリーはかなり満足度が高かった。
だが、今回のイベントはそれだけでなく……。
後編
後編はこちら!
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