SteamやXboxにおいて、早期アクセスゲームとして公開されているPALWORLD。
オープンワールドサバイバルクラフトゲームなのだが、非常に目を引くデザインで大きな注目を集めていた。それは……
モンスターのデザインがあまりにポケモンと酷似していること!!
(画像はそれぞれSteamのお知らせに写っていた”ホークウィン”と、公式のポケモンずかんのムクホーク。滅茶苦茶似てる!)
“ホークウィン”だけでなく、多くのパル(モンスター、所謂ポケモンみたいな奴らの総称)がポケモンと似ており、だいたいのパルを見ると、「もとは○○ってポケモンだろうな」「○○と△△を足して2で割ったんだな」と直ぐにわかるレベル。
このパルの見た目から、早期アクセス開始前から注目を集め、販売後は文字通り爆売れした。3月16日現在では、Steamで1000万本の販売を達成したらしい。
よく売れたゲーム、と言う意味では興味はあったものの、個人的にはパルワールドに良い思いは抱いていなかった(後述)ので、購入するつもりはなかったのだが……友人に「サーバー契約したから一緒にやらない?」と誘われたので購入。
ちょっと前に全ての塔(ボスみたいな奴)をクリアしたので、プレイ前に抱いていたことと、プレイ後の感想を書こうと思う。
※他の人が契約してくれたサーバーでプレイしていた都合上、スクリーンショットは一切ないです。
プレイ前に思っていたこと
先程述べたように、プレイ前へのパルワールドへの印象は良くなかった。
デザインが似ているだけならまだ許せるのだが……問題は、ポケモンに酷似した”パル”が銃火器を持っていること及び、”パル”を銃火器で攻撃できたり、投げて粗雑に扱ったり、果てには解体(ご丁寧にわざわざモザイクまでかけている)して殺すことが出来ることに拒否感を覚えた。
皆さんご存知ポケモンは、小さな子供を含む幅広い年齢層の人がプレイするゲームであり、その世界観には、銃火器のような物騒なものや、解体などの生々しい殺害シーンは一切出てこない。優しい世界をポケモンと共に冒険することが出来るのが、ポケモンの魅力の一つだ。
そんな優しい世界出身のポケモンに見た目が似ている”パル”に、暴力的な仕打ちを行う……見ていて気分の良いものではなかった。
そしてこれは同時に、多くの人の注目を集めることとなった……偽とはいえポケモンに対して暴力的な仕打ちを行えるゲームが販売されるのだから、興味を持つ人は多いだろう。パルワールドは、デザインをわざとポケモンに寄せることで、話題を呼び、多くの売り上げを達成したのだ。
ポケモンへの侮辱と、それによって大きな売り上げをあげていることへの不快感が、パルワールドへの嫌悪感に繋がっていた。
これが購入前に思っていたこと。
プレイ後
あんまり暴力的なシーン無かったな……。
というのも、パルは素で結構強く、わざわざ銃火器を持たせる必要性は薄い。何故なら、パルが銃火器を持つのは、パートナースキル、つまりプレイヤーとの協同攻撃の時のみ。協同攻撃中はパル、またはプレイヤーが攻撃出来なくなるので、総合火力が落ちることが多いからだ。
なんならパートナースキルを使ったり、プレイヤーが銃火器を使ったりすると、無駄にヘイトを稼いで死にやすくなるだけである。戦闘はパルに任せて、自分は銃火器の射程よりも更に後方で安全に待機するのが安定。銃火器を扱うための弾を集めるの面倒だし、パルの攻撃に比べると全然火力出ないし。(極めるとパルよりも火力を出せるようになるらしいが……そこまで行けるのはエンドコンテンツだ)
唯一の例外は塔での戦闘……10分という厳しめの時間制限付きの戦闘を行うときは、プレイヤー側も積極的にハンドガンなどで撃ちまくっていたが……血しぶきなどの表現が無いお陰で、全く暴力的に見えない。
そして、解体だが……毎回解体するのは面倒くさく、パルを減らしたいなら”濃縮”という手段を取った方が良い(濃縮は全く演出が無い)ので、ほとんど利用しなかった。多分やる価値はあまりない。例外はボス個体の追加ドロップ目当てだが……これも、毎回捕まえるよりさっさと倒した方が楽だと思っている。このゲームに解体が無くても、多分ほとんどの人が困らないので、要らない要素の筆頭だと思う。
総じて、このゲームに拒否感を抱いていた暴力性の部分は、実際にプレイするとほとんど遭遇することは無く、どちらかというと人々に興味を持ってもらうためのパフォーマンスとして入れてある機能なんだなと感じた。(パルに重労働させると、ストレスやうつ病、骨折、などの症状が出るリアルさが一番の暴力性かもしれない)
そして、プレイして思ったのは、ポケモンよりも、”Ark: Survival Evolved”の方がよっぽどパクられているな、ということ。
このゲームのジャンルは”オープンワールドサバイバルクラフトゲーム”だが、“オープンワールドサバイバルクラフト”部分はほぼArkの丸パクリである。
ゲーム業界はパクり、みたいなのが横行している……というと言い方が悪いが、○○ライク(ローグライク、ソウルライク、メトロイドヴァニアなど)というジャンルが存在するように、他作品をリスペクトしたゲームが販売されることは多い。
(ただし、ただパクるのではなく、独自の新要素などを加えたりして差別化を図るのが当たり前である)
そして、パルワールドは、ゲームシステムはArkをリスペクトし、そこに”パルを使役する”というポケモンのような要素を加えて(更に細部でブレワイを混ぜて)ごちゃ混ぜにしたゲームである。ある意味独自性があるな、と思ったので、Arkに酷似したゲームシステムをしていても、まぁいいか、という気持ちでプレイ出来た。どうせインディーズだし。
と、ここまで結構擁護するような発言をしているが、当然のように悪い点も多い。
まず、ちゃんと作り込まれていない。雑なままで放置されている要素が結構ある。
少し思い付いただけでも、
- 見た目と当たり判定の整合性の無さや、ゲーム起動時の座標ずれなどによって、結構頻繫に壁や山の中に入り込んでしまうこと。特にボス。このゲームのファストトラベルはファストトラベルポイントからしか行えない謎仕様なので、壁に入り込んでしまったら自力で抜け出すか、わざと死んでデスペナルティを受けるしかない点が拍車をかけている。
- 特定の挙動(パルスフィアによじ登る、飛行パルを戻しながら飛行パルに乗る、等)によって変なところに飛ばされる。
- 思うように建築が出来ない(階段が置きにくい、土台が無いと建築できないのに高さの異なる土台を接続できない、等)。
- 拠点のパルがしょっちゅう引っかかって仕事しなかったり、食事できずに病気になる。(そのため、体の大きいパルは拠点向きでない上に拠点は広々と作る必要がある)
- 画面にミニマップ表示が無いため、しょっちゅう立ち止まってマップを開くことになる。
- (パルワールドは同種のパルを10匹捕まえるまでボーナスがあるのだが)野生のパルを見た時に、そのパルを現在何匹捕まえているのか、を表示してくれない。
など、プレイしていて不快だったり不便に思うことが多い。
恐らく、本作は基幹部分の面白さを担保できた時点で発売しており、ブラッシュアップやバグ取りなどが行えていない為だと思われる。これが大手の発売するゲームとの違いであり、早期アクセスという名目で販売する所以だろう。(最近は大手でもバグだらけで販売するところが多い気もするが……)
(ちなみに、パルワールドを販売しているポケットペアは前作のクラフトピアもかなり中途半端な状態で放置している。作り込まずに販売する常習犯である)
そして、このゲームを楽しむことが出来たか?というと、そうでもない。
先程述べたように、プレイヤーは戦闘に参加しても死なないことを優先して、パルに全任せするので、正直言って面白くない。近接戦闘に至ってはリスクとリターンが釣り合って無さ過ぎて全くやる価値が無い。
そして、クラフト部分は、土台や階段の使いにくさからあまり積極的になれず。
オープンワールド部分……探索に関しても、代わり映えのしない景色が続き、パルの生息地も大まかにしか決まっていないので、細部を調べる必要性は全くない。やることと言ったらフィールドボスの居場所を特定することと、フィールドボスへのアクセスを良くするためにファストトラベルポイントを探すくらい。
唯一ハマったのは、配合によるパルの厳選をしたことくらい。……それも、移動速度の速いパルを手に入れて移動を快適にしたいという思いだけだったので、移動速度最速のパッシブスキルを持つパルの繫殖に成功した後は完全にモチベーションが消滅してしまった。
というわけで、付き合いで買ったゲームだったが、そこまで楽しむことが出来なかった。
唯一の良かった点は、ポケモンへの侮辱要素があまりなかったことだが……それをダシにして人を集めている点に関しては完全にその通りなので、悪印象は払しょくされず。
話題のゲームですごく売れているけど、大したゲームでは無く、ポケモンと似ているおかげでウケた一発屋だったな、がプレイした感想だった。
まぁ、発売後数週間でアクセス数が一気にガタ落ちしている点からも、多分間違ったことは言ってないだろう。
終わりに
実を言うとぼくはポケモンに関しても、販売戦略は好きではない。
なんで毎回ほぼ同じ内容のゲームを同時に2つ発売しているんだ……?プレイ中の選択肢で変わるようにすれば良いのでは……?
といつも思っている。他のゲームでバージョン商法なんてやったら烈火のごとく炎上して叩かれるだろうに……。ポケモンファンは感覚が麻痺しているのか?
何なら、パルワールド以上にバグだらけで販売したダイパリメイクが一千万本以上売り上げている時点で、かなり異常だと思っている。ゲームの出来がどんなにひどくてもポケモンブランドだけで滅茶苦茶売れているのを見ると、面白いゲーム=売れるゲームでは無いんだな、と悲しい気持ちになる。
そう思っていた矢先にパルワールドが爆売れしたので、実はゲーム業界ってゲームの面白さを追求するより販売戦略を見直した方が良いんじゃないか……?と思いました。
いや、プレイするなら売れてるゲームよりも個人的に面白いと感じられるゲームの方が良いけどね。
完。
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